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iDeCoとNISAの違いとおすすめは?得する投資方法を解説

2024.09.17 お金の勉強

これから投資を始めたい初心者の方や、将来のためにしっかりと資産を増やしたいという方にとって、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「NISA(少額投資非課税制度)」という二つの選択肢は非常に魅力的です。

しかし、それぞれの制度には異なる特徴があり、その違いがよくわからないと迷っている方も多いのではないでしょうか。

iDeCoは老後の資金形成を目的としており、税制面での優遇措置が特徴です。一方、NISAは短期・中期の資産運用に適しており、投資の利益が非課税になるというメリットがあります。

iDeCoとNISA、それぞれの制度の概要やメリット・デメリット、両者の違いについて詳しく解説します。どちらを利用すれば良いか迷っている人はぜひ参考にしてください。

目次 開く

iDeCoとは老後の資金を作るための制度

iDeCoとは私的年金制度のひとつで、個人型確定拠出年金と呼ばれています。

iDeCoの特徴とメリット・デメリットについて説明します。

メリット デメリット
掛け金は全額所得控除
「元本確保型」の商品がある
運用益も非課税
年金か一時金か受け取り方が選択できる
受け取るときにも控除対象
ただ貯金するよりも資金を増やせる可能性がある
原則として60歳まで引き出せない
金融商品によっては元本割れする可能性がある
加入時と運用時に手数料がかかる

iDeCoとは年金代わりに自分で老後の資産形成をする制度

iDeCoとは、自分で投資商品を選び、自分で設定した掛け金を運用しながら、60歳になってから年金として掛け金と運用益を受け取る仕組みです。

公的年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送るための一助となります。

引用元:引iDeCoの概要 |厚生労働省

自分で掛け金を運用して資産を増やす、もうひとつの年金です。

iDeCoに加入できるのは20歳〜60歳

公的年金制度は20歳以上の国民の加入が義務付けられていますが、iDeCoの加入は任意です。加入できるのは、20歳〜60歳までの国民年金被保険者です。

【iDeCoに加入できる人】

  • 国民年金第1号被保険者(自営業者等)※農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除者を除く。
  • 国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)※公務員や私立学校教職員共済制度の加入者を含む。
  • 国民年金第3号被保険者(専業主婦(夫)等)
  • 国民年金任意加入被保険者

つまり、20歳以上60歳未満なら誰でも加入できるということです。(保険料免除されている人などは除く)

投資先は自分で選ぶことができる

掛け金や運用の方法なども自分で決め、60歳以降に年金資産として受け取れる制度ですから、複数の商品を選んで運用することも可能です。

運営管理機関が選定・提示する運用商品(投資信託、保険商品、預貯金等)の中から、加入者等自身が商品を選んで運用します。

引用元:iDeCoの概要 |厚生労働省

運用というと、元本割れするのではないかと不安な人も多いと思いますが、iDeCoには元本確保型商品も用意されています。

iDeCoの掛け金は職業によって違う

公的年金は、国民年金なら保険料が一律ですし、厚生年金は報酬によって保険料率が決められています。

iDeCoは、職業によって掛け金が違います。月の掛け金の上限を一覧でまとめました。

職業 掛け金の上限(月)
国民年金第1号被保険者(自営業者等) 68,000円
年額816,000円)
国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者) 確定給付型の年金及び企業型DCに加入していない場合(公務員を除く) 23,000円
(年額276,000円)
企業型DCのみに加入している 20,000円
企業型DCの事業主掛金額との合計額が55,000円の範囲内
確定給付型の年金のみ、または確定給付企業年金(DB)と企業型DCの両方に加入している 12,000円
※企業型DCの事業主掛金額との合計額が27,500円の範囲内
公務員 12,000円
(年額144,000円)
国民年金第3号被保険者(専業主婦(夫)等) 23,000円
(年額276,000円)
国民年金任意加入被保険者 68,000円

掛け金は、月々5,000円から始めることができて、1,000円単位で好きな金額を設定できます。

基本は月ごとの積み立てですが、届け出することによって年単位での支払いも可能です。

iDeCoのメリットは掛け金が全額所得控除の対象となること

iDeCoの掛け金は、全額が所得控除の対象です。

税金がどのくらい減るかは、掛け金と税率によって違ってきます。

仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。
所得控除の手続きは、掛金の払込方法や加入者区分によって異なりますので、よくご確認ください。

引用元:iDeCo(イデコ)のメリット|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

会社員の場合は年末調整の際に、個人事業主など国民年金の第一号被保険者は、確定申告の際に掛け金の合計金額を申告すると税が軽減されます。

当年の1月〜12月までに払い込んだ賭け金が控除対象となりますので、働き方に合わせて申請してください。

なお、申請時に引き落としがされていない賭け金については、予定金額として含めて申請します。

運用によって得た利益もすべて非課税となる

通常、株や投資信託などの金融商品を運用し、利益が出た場合はその利益に対しておよそ20%の税金が課されます。

【税金の内訳】

  • 所得税15%+復興特別所得税0.315%(所得税の2.1%)+住民税5%=20.31%

iDeCoの運用益は非課税となっており、運用によって出た利益がそのまま再投資可能です。

20年、30年と運用と続けていった場合に、課税された場合と比較すると、利益が利益を生む複利効果で受取額に大きな差が出ます。

将来受け取るときの控除も大きい

IDeCoを受け取るときは、年金もしくは一時金の形で、受け取り方法を選択することができます。

一度にまとめて一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は、「公的年金等控除」が適用されます。

【退職所得控除】

勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円 + 70万円 × (A – 20年)

【公的年金控除】

受給者の年齢 受け取る年金額 年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合 年金以外の所得が年間1,000万円超2,000万円以下の場合 年金以外の所得が年間2,000万円超の場合
65歳未満 130万円以下 60万円 50万円 40万円
130万円超 410万円以下 年金額×25%+27.5万円 年金額×25%+17.5万円 年金額×25%+7.5万円
410万円超 770万円以下 年金額×15%+68.5万円 年金額×15%+58.5万円 年金額×15%+48.5万円
770万円超 1,000万円以下 年金額×5%+145.5万円 年金額×5%+135.5万円 年金額×5%+125.5万円
1,000万円超 195.5万円 185.5万円 175.5万円
65歳以上 330万円以下 110万円 100万円 90万円
330万円超 410万円以下 年金額×25%+27.5万円 年金額×25%+17.5万円 年金額×25%+7.5万円
410万円超 770万円以下 年金額×15%+68.5万円 年金額×15%+58.5万円 年金額×15%+48.5万円
770万円超 1,000万円以下 年金額×5%+145.5万円 年金額×5%+135.5万円 年金額×5%+125.5万円
1,000万円超 195.5万円 185.5万円 175.5万円

一時金型と年金型、どちらで受け取る方が控除が大きいかは、運用益によっても違ってきます。

実際に受け取るときには、税制が変わっている場合もありますので、受け取る時点で計算した上で考えても遅くはありません。

貯金するよりもお金が増える可能性がある

日本は長らく低金利が続いており、銀行にお金を預けてもまったく増えることはありません。タンス預金と何ら変わらない状況が続いています。

IDeCoを利用して資産運用をすれば、貯金をしているよりも将来受け取るお金が増える可能性があります。

貯金が苦手な人にとっては、iDeCoで積み立てを始めることで、強制貯蓄の効果もあります。最低積立額が5,000円と少額からスタートできますから、無理なく貯蓄を続け、資産を増やせるチャンスです。

iDeCoは好きなときに引き出せないのがデメリット

IDeCo積み立てを始めると、積み立てたお金は原則として60歳まで引き出すことができません。

老後の資金を作るという目的から、定期貯金のように途中で解約することができないのです。

解約できるケースとしては、以下の3つがあります。

  1. 加入者が死亡した場合→死亡一時金の受け取り
  2. 加入者が高度障害者になった場合→障害給付金の受け取り
  3. 加入者が一定の条件を満たして「脱退一時金」を受け取る場合

なお、「脱退一時金」を受け取るための条件は非常に厳しく、以下の条件を全て満たす場合です。

1.60歳未満であること
2.企業型年金加入者でないこと
3.国民年金保険料免除者、外国籍の海外居住者等個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できない者であること
4.日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
5.通算拠出期間が5年以下、又は個人別管理資産が25万円以下であること
6.確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
7.最後に企業型確定拠出年金又は個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失した日から2年以内であること

引用元:よくあるご質問|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

ただし、仕事を失うなどの理由で掛け金を支払い続けることが難しいこともあるでしょう。その場合は掛け金を減額したり支払いを一時停止したりすることが可能です。

加入期間によって受け取れる年齢が違う

積み立ては原則60歳までとなっていますが、加入期間によって実際に受け取れる金額は違ってきます。受け取り可能年齢は以下の通りです。

通算加入期間 受取可能年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1ヵ月以上2年未満 65歳

60歳を過ぎても、加入期間によっては受け取りができない点に注意が必要です。

60歳から受け取りたい方は、遅くとも50歳までに加入して10年積立をする必要があります。

NISAとは少額投資非課税制度のこと

NISAは、2014年1月から始まった「少額投資非課税制度」です。

より使いやすい制度にするために、2024年1月から新制度がスタートしました。

※ここでは、2024年以降の制度を新NISA、それ以前の制度を旧NISAと表記します。

メリット デメリット
運用益が無期限で非課税になる
18歳以上なら誰でも利用可能
つみたて枠と成長投資枠を併用すれば年間360万円の投資が可能
投資上限額(総枠)は1,800万円
元本割れの可能性がある
損益通算ができない
購入できる商品が限定される

NISAとは利益に課税されない少額投資非課税制度

通常、株式投資や投資信託を行うと、その利益に対して約20%の税金がかかります。

【税金の内訳】

  • 所得税15%+復興特別所得税0.315%(所得税の2.1%)+住民税5%=20.31%

年間の投資額は決まっているものの、その投資した分で運用益については非課税となるのが最大の特徴です。

つみたて投資枠と成長投資枠がある

新NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠があります。それぞれの違いについて一覧でまとめました。

概要 つみたて投資枠 成長投資枠
非課税保有期間 無期限 無期限
年間投資可能枠 120万円 240万円
非課税保有限度額 1,800万円 1,200万円※
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等
購入方法 定期かつ継続的な買付 いつでも可
口座開設期間 恒久化 恒久化
対象年齢 18歳以上 18歳以上

※非課税保有限度額は全体として1,800万円ですが、そのうち成長投資枠は1,200万円までとなっています。

旧NISAは年間投資枠もあまり大きくなく、非課税保有期間も5年から20年と制限されていました。

新NISAでは投資枠が大幅に拡大され、非課税保有期間も無期限となりました。

しかも、旧NISAではつみたてNISAと一般NISAの併用はできませんでしたが、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用することができます。

非課税保有期間が無期限となった

旧NISAでは、一般NISAが5年間、つみたてNISAは20年間という非課税保有期間の制限がありました。

一般NISAでは5年間という短い期間であるため、5年後に売却するか、それとも翌年の枠に移して運用するか、それとも通常の課税口座に移すか選択をしなくてはなりませんでした。

新NISAではできる期間が無期限となったので、いつまで運用するか、売るタイミングなどを気にすることなく長期的な資産形成に取り組むことができます。

NISAは18歳以上なら誰でも開設できて年齢の上限がない

iDeCoを開始できるのは20歳からですが、NISAは18歳以上なら誰でも投資ができます。

口座もいつでも開設ができます。

口座の開設には通常2〜3週間かかります。一般の口座と違い、NISA口座は1人1口座と決まっているため、税務署の審査が入ります。

金融機関での開設手続き自体は即日または数日で完了するのですが、税務署の審査を待たなくてはならないため、実際に口座を使えるようになるまでは1ヵ月近くかかる場合もあります。

つみたて投資枠と成長投資枠の併用で年間360万円の投資が可能

旧NISAでは、つみたてNISAと一般NISAの併用はできず選択制となっていましたが、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠が併用できます。

2つの枠を併用することにより、年間投資額が360万円まで拡大します。

旧NISAでは、一般NISAで年間120万円までしか積み立てができませんでしたので、これまでの3倍の積み立てが可能となりました。

非課税保有限度額は1,800万円で再利用も可能

旧NISAでは、投資上限額が以下の金額でした。

  • つみたてNISA:800万円(40万円×20年)
  • 一般NISA:600万円(120万円×5年)

新NISAでは非課税保有限度額が無期限となり、その枠も1,800万円まで拡大されました。 ただし、成長投資枠のみを利用する場合は、限度額が1,200万円となることに注意が必要です。

つみたて投資枠と併用すれば、 たとえば成長投資枠で1,200万円、つみたて投資枠で残りの600万円を使うといった方法もありです。

また、1,800万円まで額を利用したとしても、保有商品を売却して枠が空けば、その分は翌年からまた利用できます。

NISAには元本保証型の商品がない

iDeCoには元本保証型の商品がありますが、NISAにはありません。

場合によっては元本割れする可能性がある点に注意が必要です。

ただし、分散投資をすることと、長期間運用を続けることによって元本割れのリスクを低くすることは可能です。

金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」に、資産を分散し、5年と20年運用した場合のデータがあります。

保有期間が5年では元本割れするリスクもあるものの、20年運用するとそのリスクは限りなく低くなっていることがわかります。

投資ですから、必ずプラスが生まれるとはいえないものの、運用方法によってはそのリスクを下げることは可能です。

NISAは損益通算ができない

損益通算とは、年間の利益と損失を相殺し、課税される利益を減らすことです。

たとえば、A株で100万円の利益が出たとしても、B株で40万円の損失が出ていた場合、それを相殺すれば利益は60万円となります。

この場合、100万円ではなく60万円に対して課税されますので、損益通算をすれば税金を減らすことができるのです。

しかし、NISA口座で運用して得た利益は、他の口座で運用しているものと損益通算することができません。

ですから、仮にNISAで損失が出た場合、他の口座で発生した利益と相殺することができないため、慌てて売らずに慎重に判断することが大切です。

iDeCoとNISAの違いを知ろう

iDeCoとNISAの概要がわかったところで、両者を比較して、その違いも理解していきましょう。

iDeCo NISA
概要 私的年金制度 少額投資非課税制度
対象年齢 基本的に20歳から60歳まで
(国民年金任意加入者は65歳まで加入できる場合あり)
18歳以上
※旧NISAと同様
資金の引き出し 60歳まで原則不可 いつでも可能
税制優遇 運用益が非課税
積立時の掛金が全額所得控除になる
受取金額の一定額が退職所得控除または公的年金等控除の対象になる
運用益が非課税
対象商品 元本確保型商品(定期預金や保険商品等)と投資信託 つみたて投資枠:長期の積立分散投資に適した投資信託
成長投資枠:上場株式・投資信託など(除外条件あり)
手数料等 加入・移換時手数料:2,829円(初回1回のみ)
加入者手数料:105円(掛金納付の都度)+66円(毎月)(金融機関によって運営管理手数料がかかる場合もある)
受取時手数料:440円(振込の都度)
口座開設手数料等はかからない。
購入時手数料や売買手数料がかかる場合がある。
買付方法 積立 積立、一括(都度)
最低運用金額 毎月5,000円 なし
年間運用金額の上限 14万4,000円~81万6,000円 最大360万円(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円)
非課税保有限度額 制限なし 1,800万円(成長投資枠は1,200万円)

対象年齢の違い・ NISAに年齢の上限は無い

まず、対象年齢に違いがあります。

iDeCo NISA
20歳以上60歳まで 18歳以上

NISAは18歳になれば誰でも利用できます。年齢の上限もありません。

iDeCoは私的な年金制度という側面があることから、加入は20歳以上、原則60歳までの運用期間となります。

NISAはいつでも売却可能だがiDeCoは60歳まで引き出せない

NISAはいつでも売却が可能です。複数の商品を売却することももちろん可能ですし、必要に応じて金額や口数を指定して売約することもできます。

一方iDeCoは、原則60歳まで引き出すことができません。運用中にまとまったお金が必要となった場合でも、使うことができないので注意してください。

年間投資上限額はNISAの方が高い

年間投資上限額は、新NISAの方がはるかに高いです。

iDeCo NISA
年間816,000円 年間360万円

iDeCoの年間投資額は、最も高い国民年金第一号被保険者であっても、年間816,000円です。会社員や公務員ならこの半分にも満たない額です。

たとえば、会社員は月に23,000円しか積み立てられないため、仮に20歳〜60歳までの40年間積み立てたとしても、1,000万円ほどにしかなりません。

  • 23,000円×12ヶ月×40年=11,040,000円

それに対して、新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠を併用することで、年間360万円まで投資が可能です。

非課税保有限度額に上限があるもの、1,800万円と高額ですので、枠としてはNISAの方が大きいということになります。

ただし、iDeCoとNISAは併用が可能ですから、運用額で比較はしなくても良いかもしれません。

対象となる商品はNISAの方が幅広い

iDeCoとNISAは、投資する対象商品に違いがあります。

iDeCo NISA
投資信託、保険、定期預金 上場株式やETF、REIT、投資信託

NISAのつみたて投資枠では285本の投資信託と8本のETF、さらに成長投資枠は国内外の株式やETFにも投資ができます。

取り扱い商品の数も多く、100本を超える商品を用意している金融機関も多数あります。たくさんの商品の中から自分の好みの商品を組み合わせたい人には新NISAがおすすめです。

一方iDeCoは、金融機関によって取扱商品数が違いますが、100本もありません。

  • SBI証券: 87商品(うち投資信託83商品、元本確保型商品4商品)
  • マネックス証券: 28商品(うち投資信託27商品、元本確保型商品1商品)
  • 楽天証券: 27商品(うち投資信託26商品、定期預金1商品)
  • イオン証券: 71商品(うち投資信託68商品、元本確保型商品3商品)
  • 岡三証券: 66商品(うち投資信託65商品、元本確保型商品1商品)

ただし、50以上の商品を用意している金融機関でも、加入者保護の観点から実際に選択できる商品数は30程度に制限されています。

さらに大きな違いは、iDeCoには元本確保型商品が用意されていることです。元本確保型とは、文字通り元本が保証される商品です。投資をしてみたいけれど、リスクが不安な人におすすめの商品です。

たくさんの商品の中からより運用益の高いものを選びたければ新NISA、元本確保型などリスクを取らずに運用したい人はiDeCoという選択肢になるでしょう。

iDeCoの方が節税効果は高い

NISAは運用益が非課税となるのみですが、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象になりますし、受取金額に対しても控除が適用されます。

月に1万円の賭け金だとしても年間12万円、もし30年運用すれば360万円が所得控除の対処となるのです。

節税効果という点から見れば、iDeCoの方が圧倒的に有利です。

ただし、所得の金額や運用益によって控除の効果は変わってきます。

全体的に節税のメリットはiDeCoの方が高いですが、人によってはそれほど差がつかないこともありますので、事前にシミュレーションしてみることが大切です。

NISAは手数料があまりかからない

加入から運用までの手数料にも違いがあります。

iDeCoには様々な手数料がかかります。

対象者 内容 支払い先と金額
加入申込者
移換申込者
加入時・移換時手数料 国民年金基金連合会
2,829円
加入者 手数料 国民年金基金連合会
105円/月
加入者 手数料 事務委託先金融機関
66円/月
加入者 還付手数料 国民年金基金連合会
1,048円

このほか、金融機関によってかかる手数料などがあります。

一方NISAは、口座を開設するにあたっては、ほとんどの金融機関で手数料無料となっています。

運用管理費用や売買手数料などは、金融機関によって違ってきますが、売買手数料は無料にしているところも多いです。

手数料だけを比較すると、NISAの方がお得だといえるでしょう。

iDeCoとNISA、どう運用すべきか?具体的な運用例

両者の違いがわかったところで、どう運用していくべきなのか、具体的な運用例を考えてみます。

口座開設手数料のかからないNISAから始めてみる

まず、先々のことはよくわからない、あまり費用をかけずに始めてみたいという人は、NISAから始めてみるのが良いでしょう。

  • 100円から投資可能:SBI証券、マネックス証券、楽天証券、大和証券など
  • 1,000円から投資可能:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など

ネット証券会社は100円からスタートできるところが多いです。メガバンクでもNISAを取り扱っていて、1,000円から投資が可能です。

100円や1,000円では投資をしても意味がないのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

たとえば1,000円を20年運用するとどのくらいの利益になるのか、みてみましょう。

毎月1,000円、20年間投資を続けたとして、年利3% (複利)で運用すると計算上は32.8万円となります。元本は24万円なので、およそ1.4倍になります。

まずはスタートすることが重要です。無理のない範囲で、100円、1,000円という少額でかまわないので投資を始めてみてはいかがでしょうか。

ただし、成長投資枠とつみたて投資枠とで、最低投資金額が違う場合がありますので、詳しくはそれぞれの金融機関の公式サイトを確認してください。

iDeCoとNISAは併用ができる

iDeCoとNISAは併用ができます。ですのでどちらか一方に絞る必要はありません。

商品は完全に同じではありませんが、まずNISAからスタートし、投資の勉強をしながら、慣れてきたらiDeCoにもチャレンジしてみてはいかがでしょう。

iDeCoは、最低金額の5,000円からスタートしてみることをおすすめします。こちらは老後の資金を貯めるつもりで運用していきます。

あとから掛け金を増やすことは可能なので、無理のない金額で始めてみましょう。

iDeCoを選ぶべき人、NISAを選ぶべき人

iDeCoとNISA、自分はどちらが向いているのか?と迷っている人は、以下の観点で選んでみてください。

何のための資産形成か目的をはっきりさせること

iDeCoとNISAでは、運用できる金額も期間も違います。 ただどちらが得か考えても向いている商品が分かりません。

どちらを選ぶべきか迷ったら、何のための資金を準備したいのかよく考えてみてください。

老後の資金として長期にわたって運用していきたいならiDeCo、教育資金やマイホーム資金など、ライフステージの変化によってまとまった金額を使いたい場合はNISAなど、目的に合わせて選びます。

ただし、iDeCoとNISAは併用できますから、投資商品を上手に組み合わせることによって様々な目的にあった効率的な資産運用が行えます。

低リスクで老後の資金を積み立てたい人はiDeCo

お金は増やしたい、でもできるだけリスクを低くしたいと思う人は、iDeCoがおすすめです。

  • 元本確保型の商品を組み入れたい
  • 所得控除が大きい方がいい
  • 老後の生活が不安

などの目的がある人はiDeCoがよいでしょう。

iDeCoには、元本保証型の商品があります。

せっかくの投資ですので、すべて元本保証型にするのはややもったいないですが、いくつか商品を組み合わせるときに、元本保証型を入れておくことで少しでもリスクを下げられるのではないでしょうか。

若年層ほどiDeCoが有利

若年層であれば、長期的な資産形成に焦点を当てたiDeCoがおすすめです。運用期間が長いほど、利益も増える可能性があります。

中高年層はiDeCoですと運用期間が短くなってしまうため、短期的に目標を達成できる商品をNISAで選んだ方が適しています。

いつでも資金を引き出せるようにしたい人はNISA

多少のリスクはあっても資産を増やしたい、いつでもお金を引き出せるようにしておきたいと思う人は、NISAがおすすめです。

  • 投資で資産を大きく増やしたい
  • たくさんの商品の中から選びたい
  • 時折まとめて使える資金を用意したい

などのニーズに応えてくれるのがNISAです。

iDeCoとNISAの違いについてよくある質問とその回答(Q&A)

iDeCoとNISAの違いに関して、よくある疑問や質問とその回答についてまとめました。

iDeCoとNISAは何が違うのですか?

iDeCoは主に老後の資金を作る目的で投資を制度、NISAは投資の利益に非課税されない制度です。

積み立てができる年齢や金額にも違いがあります。

iDeCo NISA
概要 私的年金制度 少額投資非課税制度
対象年齢 基本的に20歳から60歳まで 18歳以上
※旧NISAと同様
資金の引き出し 60歳まで原則不可 いつでも可能
税制優遇 運用益が非課税
積立時の掛金が全額所得控除になる
受取金額の一定額が退職所得控除または公的年金等控除の対象になる
運用益が非課税
最低運用金額 毎月5,000円 なし
年間運用金額の上限 14万4,000円~81万6,000円 最大360万円(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円)
非課税保有限度額 制限なし 1,800万円(成長投資枠は1,200万円)

大きく資産を増やしたいならNISAがおすすめです。少ない資金でもコツコツ増やしていきたい人は、iDeCoがおすすめです。

ただし、iDeCoは原則60歳まで解約ができないので、途中で引き出す予定のある人はNISAがおすすめです。

iDeCoは誰が加入できるのですか?

iDeCoは私的年金制度であり、20歳から60歳までの国民年金の被保険者が加入できます。掛け金の積み立ては65歳まで可能です。

受け取り年齢は原則60歳以降ですが、積み立て期間によって受給開始年齢が違います。

iDeCoのメリットは何ですか?

iDeCoのメリットは、投資の利益が非課税になることと、掛け金の全額が所得控除の対象となることです。

掛け金と運用益を受け取るときも控除が受けられますので、NISAよりも節税効果は高いといえます。

NISAのメリットは何ですか?

NISAのメリットは、投資の利益が非課税になることです。非課税になる期間に制限はありません。

投資できる金額もiDeCoより遥かに大きいです。その分、運用益も期待できます。

iDeCoとNISA、どちらを始めるべきですか?

iDeCoとNISAはそもそも資産形成の目的が違う商品なので、投資をする目的によって選ぶべきです。

老後の資産形成を目的に投資をするのはiDeCo、投資によって大きく利益を出したい人がNISAがおすすめです。

なお、iDeCoとにNISAは併用可能です。どちらか一方に絞る必要はありません。

iDeCoとNISAはどうやって始めるのですか?

まず、iDeCoとNISAを取り扱っている証券会社や銀行を選びます。

各金融機関で取り扱っている商品が違いますので、リターンの大きさや手数料のちがいなどをよく比較して投資先を決めます。

iDeCoもNISAも、ひとり1口座という制限がありますので、手数料や使い勝手などをよく比較して口座を開設しましょう。

iDeCoとNISAの注意点は?

投資は自己責任です。iDeCoの一部の商品を除いて、元本保証はありません。

状況によっては、利益が出るどころか、元本割れするリスクも十分考慮して、投資先を選びましょう。

iDeCoとNISAを併用するメリットは?

iDeCoとNISAを併用すれば、それだけ投資できる枠が大きくなります。

投資額が大きくなれば、その分大きなリターンも期待できますが、投資は資産が増えることを確約するものではありません。

メリットだけでなく、デメリットもよく理解した上で取り組むことが大切です。

iDeCoとNISAどちらにもメリットとデメリットがある

iDeCoは公的年金にプラスして老後の生活を支えるための私的年金制度です。NISAは投資の運用益が一定額まで非課税になる制度です。

両者とも、自分で投資先の商品を選び、運用していきます。

それぞれにメリット、デメリットがありますし、投資には元本割れのリスクもありますから、内容をよく理解して商品を選ぶことが大切です。

今回は、iDeCoとNISAの違いについて詳しく解説しました。これからは自分で資産を作っていく時代です。iDeCoとNISAは併用が可能ですから、両者のメリットを活かしながら、上手に運用していきましょう。

当コラム内のデータ等は、2024年8月26日現在のものです。